menu

グローイング・アカデミー、有本均学長が“人を大切にする”企業のトップと対談する企画。
第5弾は、中古ゴルフクラブの買取・販売等を行う中古ゴルフショップ「ゴルフ・ドゥ!」を運営する、
株式会社ゴルフ・ドゥの伊東龍也社長との対談です。(以下敬称略)

“社員の幸福”が経営の土台 将来を担う人財の育成へ

有本
早速ですが、伊東社長の人財教育に対する想いをお聞かせください。
伊東
私が社長に就任したのが11年前でした。
その際に経営方針として「芯のある、ぶれないもの」を持ちたいと考えた時、「社員の幸福が経営の土台である」という言葉が頭に思い浮かびました。
店舗で働く従業員がいきいきと仕事をしてもらうことにより、その接客を受けたお客様は満足され、その結果として売上や利益に繋がります。
売上・利益が上がると、社会貢献や従業員満足度の向上のために会社として行動することができます。すると従業員がまたいきいきと仕事をして・・・というサイクルが生まれます。このサイクルが生まれると、自然と会社の経営もより良くなっていきます。そのため私は、「社員の幸福が経営の土台である」というキーワードを経営方針の一つに加えました。

その後考えたのは、「会社として社員の幸せのために、まずは何ができるだろう」という事でした。
おそらく様々なやり方があると思います。その中でも、「教育」「活躍の場を作る」「評価」という3つの項目が思い浮かび、その中でも1番最初に思い浮かんだのが「教育」でした。
私にとって教育とは、新入社員や部下にスキルを教える事だけではないと考えています。
新卒社員のような若い方はもちろん、中途社員でも将来世の中に貢献できるような人間へと成長するように育てていくことが会社における教育の使命です。そのためにも人間性を磨いたり、人格を高めていくような教育をするべきなのです。
私は教育という漢字を「共に育てる=共育」と書いています。人に教えるということは、教えられた側だけがオペレーションスキルが上がるわけではありません。教えることによって先輩社員も指導力が上がっていく、というように人格面でも成長することができます。

当たり前の事かもしれませんが、ここを意識する・しないで成長具合が大きく変わってくると思います。
有本
確かに、同じ教育の場である学校では知識を与えている部分が大きいため人間性や人格は会社に入ってから教育されていきますね。
仕事を通して成長していく部分だと思います。具体的に教育の部分では、何をしていらっしゃるのですか?
伊東
まずは、2泊3日の集中型研修を年に2回、2年間行っています。
内容としては自律型人財の育成です。ここでは、物事を判断・決断できる人間を育てることを目的としています。
では、どうすればそのような人間を育てることができるのか。私は、何かを判断するときに理念が必要だと考えています。理念をきちんと理解することで、自分自身が何のためにこの会社でこの仕事をしているのか、という事を把握することができ、社会に役立つ人間へと成長していきます。そのためにも、この研修では特に理念の共有を大切にしています。もちろん、商品知識やマーケティング等のオペレーションスキルも教えていますが、人間性を高めるという点には特に力を入れています。
有本
社会人として、ゴルフ・ドゥの社員としてあるべき姿をこの研修で教えているのですね。
伊東
理念に向かって仕事をすることはどこの会社に行っても同じです。理念の大切さを教えていきたいですね。
教育の次は「活躍の場を作る」という事を意識しています。当社は手を挙げた者に、どんどん仕事を与えていきます。取り組み姿勢や結果で個人差が出てくる事は仕方がありませんが、機会は均等にあるべきです。それは当社内だけの話ではありません。

例えば社員が成長し、10年後や20年後に「自分が身につけたものを世の中に発揮したい!」と考えた時、私はその従業員のことを会社に留まるよう説得するのではなく、世の中で活躍するように応援しなければなりません。それが例え会社の中核を担うベテラン社員で、弊社にとって損失になったとしてもです。これも、会社として活躍する場を与える事の一つだと思います。
有本
ご自身の会社の売上や利益だけではなく、その方の成長を一番に考えられているという想いが伝わってきます。
「教育」「活躍の場を作る」、そして「評価」とおっしゃっていましたが、評価についてはいかがでしょうか。
伊東
評価に関しては一番難しい所だと考えています。
弊社では業績評価・ビジネススキル・ヒューマンスキルの3本立てで評価をしています。その中でも一番重視しているのはヒューマンスキルですね。
「心得5箇条」というものがあり、その5箇条に沿って評価をしています。結果を出すことも大切ですが、元々持っている個々の人間性を高めていく事をポイントとし、評価をしています。
有本
なるほど。教育を行い、その上で活躍の場を作り、そこに対して評価していくという流れができていますね。
全ては従業員満足度の向上、そして定着率アップに繋がっていくと思いますが、他に意識されていることはありますか?
伊東
「改善する」ことを常に意識しています。
日々の業務の中で、普段お店に居ない、私のような立場では気が付かない小さな問題や改善点が発生しています。
私は、社員一人一人の声に耳を傾け問題点を発見し、改善するように努めています。
以前、弊社の全社員100名程に、「会社全体に感じること」「自部門と他部門について」を文字に落とし込んでもらいました。
もちろんその資料を集めて終わりではなく、全社員に個人面談を1時間ずつ行い、その時にも意見を集めていきました。
面談といっても仕事の話や改善点だけの話ではありません。時にはくだけた話もしますし、社員にリラックスしてもらいながら面談を行っています。その中で改善点等が見つかることもあります。
普段身近にいる店長に対しては言いにくい事も、せっかくの社長面談なので言ってみよう…と些細な事も話してくれたりします。

私たちは面談や資料の内容を基に、会社として改善に取り組んでいます。
このような改善・コミュニケーションも、定着率向上に繋がるのではないでしょうか。
有本
私も年に2回、社員全員と面談を行っています。
店舗を運営されている中、直接面談を行うのは大変ですよね。ただ、社員の皆さんも喜んでいらっしゃるのではないでしょうか。
伊東
そうですね。社長の私でも相談をしてくれる、風通しの良い会社だと考えています。
ただ、現場の者はそう考えているかはわかりません。

一度、人事担当と管理部門の責任者に社風について聞いてみたことがありました。
すると「チームワークを大切にする会社」「アットホームな雰囲気を持つ会社」と回答がありました。言い方は三者三様ですが、みんな人については良い社員が多いと答えます。
特に、アットホームだと答えた女性社員からは、面接時と入社後のギャップが無いといわれました。特に新卒社員の面接のときですが、店舗見学を行い店長とディスカッションをしています。その際の店長とのやり取りで良い雰囲気をしっかりと感じ取ってくれているからこそ、入社前後のギャップが無いと感じたのではないでしょうか。

有本
入社後のギャップが無いというのはすごいですね。採用段階で求めているものはあるのでしょうか?
伊東
素直さが必要だと感じています。これは新入社員に限らず、中途社員にも求めている事です。
素直な人は、自分の仕事を良くするために相手の話を吸収し、実行する力を持っています。そのような人が将来の社会を担っていくのではないのでしょうか。
有本
全ては社員の将来の事を考えての採用・教育・評価ですね。伊東社長の従業員に対する想いが伝わってきました。
活躍できる人財を多く育てることができるよう、私たちもお手伝いができればと思います。本日はありがとうございました。